• eドリルを受講している人はこちら
  • 受講効果・目的
  • 受講システム
  • 充実のサポート
  • 費用・環境について
  • eドリルトップページ

eドリル トップページ > That's GAKU(2019年8月)

2019年8月

病院にかつぎ込まれる野生のコアラ

 「コアラ」はオーストラリアを代表する動物の一つ。コアラを抱っこできる動物園を目当てに、オーストラリアを訪れる観光客も少なくない。
 コアラといえば、木につかまって、うとうとしているイメージがあり、いかにものんびりした生活を送っていそうな動物だよね。そんなコアラに危機が迫っている。
 クイーンズランド州の南東部にある野生動物病院には、骨折した瀕死のコアラがかつぎ込まれてくる。その数は13年間で2000頭を超えた。しかも、けがをしたコアラのうち、命をとりとめたのはわずか2%。多くのコアラが手当てのかいもなく命を落としている。
 激しい争いとは無縁に思えるコアラが、なぜこんなに数多く骨折し、命を落とす事態になっているのだろうか。

コアラの生態は?

毒のあるユーカリが唯一のエサ

 コアラは体長65〜85p、体重9kg前後で、背中は灰色、おなかは白い毛皮に覆われている。カンガルーと同じ有袋類で、母親は出産すると約6か月、育児のうと呼ばれる腹部の袋の中で1頭の赤ちゃんを育てる。
 エサとしてユーカリの葉しか食べないことが大きな特徴。ユーカリには毒があり、ほかの草食動物は食べないが、コアラには、腸内細菌がユーカリを解毒して毒をすみやかに体外に排出できる能力があるため食べられる。赤ちゃんは乳を飲んで6か月育ち、離乳食として母親のフンを食べる。普通のフンではなく、母親の盲腸でつくられるパップと呼ばれるゼリー状の特別なフン。消化器官が未熟な赤ちゃんがユーカリで中毒を起こさないよう、母親が半ば消化してユーカリの解毒に必要な腸内細菌や酵素を含んだパップを与える。
 コアラは夜行性で、夜にエサを食べるが、ユーカリはカロリーが少ないため、日中は20時間も木にしがみついて眠っている。成体のコアラは1日に1kgのユーカリの葉を食べるので、1頭あたりに100本のユーカリの木が必要になる。
 かつてはオーストラリア東部を中心に1000万頭以上が生息していたが、18世紀末にヨーロッパ人が入植してから、毛皮目的で乱獲され、絶滅の危機に瀕した。現在の生息数は4万3000頭ほどと推定されている。

 

異変が起きた原因は?

森林伐採と都市化で交通事故に犬の攻撃も

 野生動物病院にかつぎ込まれたコアラが骨折した原因は、93%が交通事故と犬による攻撃。すみかの森林が伐採されて住宅地になったことで、道路に出たコアラは車と衝突し、住宅地に入ったコアラはペットの大型犬にかまれ、あえなく命を落とす。
 ヨーロッパ人が入植した当時のコアラの生息地は、開発によって80%が失われた。コアラにとって森林伐採は死活問題。ユーカリは600種以上あるが、コアラのエサとなるのは40種ほど。そのなかで特定の個体群がエサにするユーカリは1〜2種類。つまり、限られた種類のユーカリしか口にしない。そのため、別のユーカリ林に移動させても、そのまま衰弱して死んでしまうことも多い。さらにクラミジアという細菌が原因の感染症やコアラエイズもまん延し、コアラの減少に追い打ちをかけている。
 特にクイーンズランド州とニューサウスウェールズ州では生息数の減少が激しい。クイーンズランド州南東部のコアラコーストでは、1996年から2014年までの20年足らずで生息数が80%減少。ニューサウスウェールズ州でも、この20年で26%も減少している。
 毒のあるユーカリを食べられるよう進化したことで、ほかの動物とエサを奪い合う必要がなくなったコアラは今、そのユーカリを人間に奪われ、危機的な状況に追いやられている。

 

ページの先頭に戻る