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eドリル トップページ > That's GAKU(2019年4月)

2019年4月

水辺で倒れている何頭ものカバ

 アフリカ南西部に位置するナミビアの水辺に、信じられない光景が広がっていた。脚を伸ばし、横向きやあお向けになって点々と倒れているたくさんのカバ。それを見た地元の人々の間に動揺が広がった。
 2017年10月、ナミビアのブワブワータ国立公園で、100頭を超える野生のカバが死んでいるのが見つかった。しかも、国立公園内で初めて死んだカバが見つかってから、わずか1週間ほどの短い時間での大量死だった。
 カバは、かつてアフリカに広く生息していたが、現在では、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種の中の「危急種」(野生絶滅の高い危険性がある種)に分類されている動物。日本の動物園でも人気者のカバに、どんな異変が起きたのだろうか。

カバの生態は?

昼は水中で動かず夜は陸で草を食べる

 かつてはアフリカ大陸のサハラ砂漠より南に広く分布していたが、現在の生息域は河川周辺などに限られている。
 体長は3・5〜4m。体重はオスの平均が約1500s、メスの平均が約1400sだが、3000sを超えるものもいる。サイとともに、陸上動物ではゾウに次ぐ大きな体をしている。カバはウシの近縁種だが、遺伝子の研究が進むにつれ、イルカやクジラと遺伝的に近いことがわかってきた。イルカやクジラは、大昔にカバの一部が海に進出したものと考えられる。
 メスと幼獣は10〜20頭の群れで生活しているが、オスは単独か、メスたちの群れの周りになわばりを作る。昼は水中であまり動かず過ごし、夜は陸に上がってエサを食べる。水中では泳がず、前肢だけで水底を歩くようにして移動する。陸上では時速30〜40qで走ることもできるが、長い距離は走れない。
 カバは草食動物で、草や根、木の葉などをエサにしている。1日に食べるエサは40sほど。シマウマなどの草食動物を襲っている様子も目撃されているが、これはエサとなる草などがなくなり、栄養不足になったからだと考えられている。
 皮ふから“血の汗”と呼ばれるピンクの粘液を分泌するが、カバに汗腺はない。この分泌物は薄い皮ふを乾燥から守るためのカバ特有のもの。

 

異変が起きた原因は?

大量死の原因は土壌に潜む炭疽菌?

 ナミビアの環境観光省は、野生のカバの大量死は炭疽菌が原因とみて、国立公園への観光客の立ち入りを禁止した。
 炭疽菌は土壌の中にいる細菌。土の中では何層もの膜に覆われた芽胞になって存在しているのが特徴。芽胞になった炭疽菌は高温、低温、乾燥、紫外線などにも強く、どんな悪条件の環境でも長期間休眠して生き続けていることができる。
 この芽胞がついた草などを動物が食べると37℃ほどの体温と栄養分、水分という条件がそろう。すると、芽胞が動物の体内で発芽し、血液内で増殖して炭疽という病気を起こす。放置すると死に至ることも多く、死亡した動物の体から、また多くの炭疽菌がばらまかれることになる。栄養分を失った炭疽菌は再び芽胞となって、次の動物の体内に入るときを待つという自然界でのサイクルがある。
 今回のナミビアでのケースは、深刻な干ばつの影響で川の水位が下がったために、炭疽菌が含まれている土壌が露出し、カバが炭疽で死に至ったのではないかと考えられている。2004年には、ウガンダで200頭近くのカバが炭疽で死んだこともあった。
 地球温暖化などによる気候変動で、このまま干ばつなどが増え続けると、眠っていた炭疽菌が掘り起こされ、さらに多くの動物の命を奪う可能性がある。

 

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