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eドリル トップページ > That's GAKU(2018年12月)

2018年12月

 海や川に生息する「マナティー」は、大きな体と穏やかな性格から“優しい巨人”と呼ばれている。丸みのある体が見る者を平和な気持ちにしてくれる癒し系の動物だが、そのマナティーに異変が起こった。
 アメリカのフロリダ州では、2018年の初めから、マナティーの死骸が次々に発見されている。環境保護団体の報告によれば、1月から8月12日までに死んだマナティーは540頭。2017年の1年間に死んだ数をすでに超えている。
 フロリダ沿岸に生息するマナティーは、モーターボートとの衝突や密猟で、1970年代には数百頭にまで減少。長年の保護活動で、2016年に約6500頭まで回復していたが、今回の大量死でまた減少しそうだ。マナティーの身に、どのような異変が起きているのだろうか。

マナティーに起きた異変

 「マナティー」は、沿岸の浅瀬や河口、河川などに生息している水生ほ乳類。水深3〜5mほどのところで多くみられ、普段は5分おきくらいで水面まで浮上して呼吸をする。
 エサは植物性で、アマモなどの海草や水生植物、海藻、水辺の陸生植物などを食べている。
 アメリカマナティー、アマゾンマナティー、アフリカマナティーの3種があり、北アメリカ南東部から南アメリカ北東部にかけての沿岸や河川には、アメリカマナティーが分布している。
 アメリカマナティーは全長2.5〜3.5m、体重200〜600s。体型はずんぐりとしていて、体色は灰色。前肢はひれ状になっており、胸の前で合わせられるので、エサを口に運ぶことができる。後肢は体内に隠れていて見えない。浅瀬では前肢をついて進むこともあるが、成獣は陸上では歩けないため、ほぼ完全な水中生活をしている。行動は単独か2〜3頭の家族単位。妊娠期間は約1年で、1回に1頭の幼獣を産む。野生での寿命は30年ほど。飼育されたものでは60年以上生きたものもいる。
 インド洋沿岸に生息するジュゴンとともに人魚のモデルとして知られているが、ジュゴンも同じ海牛目の近縁種で体型が似ている。大きくちがうのは尾の形で、マナティーは丸いシャベル状、ジュゴンは半月形をしている。

 

マナティーの生態は?

異変が起きた原因は?

 フロリダ周辺では2017年10月から赤潮が大量発生し、2018年夏にさらに悪化。過去10年で最悪の赤潮となった。
 赤潮とは、プランクトンの大増殖で海が赤褐色や茶褐色に変わる現象。フロリダやメキシコ湾周辺では、カレニア・ブレビスという単細胞の植物プランクトンの大増殖によって赤潮が発生する。このプランクトンは強力な神経毒を放出するため、マナティーが吸い込んだり、神経毒が蓄積された海草などを大量に食べると、方向感覚を失う、運動のバランスがとれなくなる、異常行動を起こすなどの症状が現れ、死に至ることがある。今回のマナティーの大量死は赤潮が原因だと考えられる。
 赤潮が発生する原因は、農業肥料や生活排水などが川から海へ流れ込み、窒素やリンなどの栄養分が増えることによる海水の富栄養化。海水の富栄養化によって、プランクトンが大増殖して赤潮となるのだ。赤潮は川の水が流れ込む沿岸の浅い海で起こりやすく、マナティーの生息地域と重なる。
 また、メキシコ南部のタバスコ州の川では、2018年1月に90頭近くのマナティーが相次いで死んだ。その原因は、石油工場から放出された有毒なカドミウムを含む排水だと推測されている。人間による川や海の汚染が、今日もマナティーの命を危険にさらしている。

 

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