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eドリル トップページ > That's GAKU(2018年2月)

2018年2月

世界に誇れる技術やサービス

日本製の包丁が外国人に大人気

「強さは鉄の5倍、重さは鉄の5分の1」という夢のような新素材が、日本で開発されている。その素材とは「セルロースナノファイバー」。 軽くて丈夫、断熱性も高く、温度による伸び縮みも少ない、保湿性や増粘性(液体の粘り気を増す性質)があるといった特性から、自動車の車体やスマートフォンの部品、化粧品やボールペンまで、さまざまな製品への利用が期待され、すでに実用化されているものもある。 セルロースナノファイバーは、木や草などの植物から取り出したセルロースを細かくほぐした繊維。セルロースは植物の主成分。細胞の中で合成され、植物の約40%を占めている。セルロースは、紙や綿繊維などの原料として昔から使われてきた。野菜や果物にも含まれていて、食物繊維と呼ばれる成分だ。 新素材のセルロースナノファイバーは、紙などに使われる天然のセルロース繊維をナノサイズまでほぐして細かくしたもの。太さが1〜100nm(1nm=100万分の1o)の範囲で、髪の毛の5000分の1から1万分の1という細さ。植物から取り出したセルロース繊維を細かくする最新の技術が必要になる。

2種類の鋼材を使った伝統の「和包丁」

セルロースナノファイバーが次世代の新素材として有望な理由は3つある。 1つは、原料となる資源が豊富で、枯渇の心配がないこと。地球上には1〜2兆tの植物があり、その40%分のセルロースが存在する計算になる。しかも、植物が成長する限り、細胞のなかで合成され続ける。成長した木材だけでなく、間伐材や竹、草も原料となり、廃棄される稲わらやおから、紙にもセルロースが含まれている。日本は国土の約7 割が森林なので、資源は豊富。森林を活用するためにも積極的に利用したい素材だ。 2つ目は、生分解性があり、廃棄しても地球環境にやさしいこと。生分解性とは微生物によって分解される性質。プラスチックなどの石油製品は自然界に放置しても分解されず、廃棄するには人工的に処理しなければならない。けれども、セルロースナノファイバーは微生物によって分解されて土にかえる。また、木材などと同じく、植物が成長するときに二酸化炭素を消費しているため、燃やして廃棄しても、大気中の二酸化炭素を増やすことにはならない。

2種類の鋼材を使った伝統の「和包丁」

3つ目は、用途が幅広いこと。水分を含んだゲル状で利用することも、乾かして強固な素材として利用することもできる。 世界で初めてセルロースナノファイバーを実用化したのは、2015年に発売された三菱鉛筆のゲルインクボールペン。増粘剤としてインクに加えられ、かすれを防ぎながら、さらさらした書き心地を実現した。 また、セルロースナノファイバーを使った紙おむつも市販されている。セルロースナノファイバーには化学物質を結合させやすい性質があるため、消臭・殺菌効果のある銀イオンを表面に結合させ、紙おむつの繊維として利用。化粧品や食品添加物としても使われている。 最も利用が期待されているのは自動車の車体。セルロースナノファイバーは軽量なので、燃費がよくなる。自動車メーカーは車体や部品にセルロースナノファイバーを利用しようと、競って研究開発を続けている。 「強くて軽い」という特性を生かしたものでは、スポーツシューズの靴底の開発も進んでいる。マラソンなどの陸上選手は1gでも軽いシューズを求めている。セルロースナノファイバーを使うことで、従来の同じ性能の製品より10%も軽くすることに成功。東京五輪で日本選手に履いてもらうことを目標に、開発を進めているという。 紙の製造技術がある製紙会社を中心に、素材となるセルロースナノファイバーを量産する体制が整ってきた。今後は、各メーカーが製品化に取り組み、日本の得意分野として世界に誇れる新技術になりそうだ。

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