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eドリル トップページ > That's GAKU(2017年10月)

2017年10月

世界に誇れる技術やサービス

日本製の包丁が外国人に大人気

調理道具を売る店が軒を連ねる東京のかっぱ橋道具街では、包丁を買い求める外国人の姿がよく見られる。せっかく日本に来たのだから、日本製の包丁を買って帰りたいという。
欧米でも日本製の高級包丁が高く評価されるようになり、欧米製の2倍の価格でも売れているという。それを裏づけるように、日本の貿易統計では、包丁など刃物の輸出額が、2009年は149億円だったが、2016年には236億円となり、7年で1.6倍にも増加している。輸出先も北米、ヨーロッパ、アジア、中東と広がりをみせ、成長幅の大きい輸出産業として注目されている。
日本の包丁のすばらしさが世界で知られるようになったのは、1990年代にイギリスの商品テスト雑誌で、切れ味のよさが紹介されたのがきっかけともいわれる。早くから和食に興味を持った海外の有名シェフが、その切れ味に感動し、こぞって日本製の包丁を使うようになったことも、日本の包丁の知名度を上げた。
最近では、世界的な和食ブームで、一般の人の間でも日本製の包丁の評価が高まっている。

2種類の鋼材を使った伝統の「和包丁」

外国人が日本製の包丁を使いたいと思ういちばんの理由は、「切れ味のよさ」。そして、「鋭い切れ味が長く続くこと」。
海外で使われてきた「洋包丁」と、和食の料理人などが使う伝統的な「和包丁」には、もともと構造に大きな違いがある。
洋包丁は、刃物全体が1種類の鋼(鋼鉄)でできているのに対し、和包丁は2種類の鋼材を使っている。刃物全体の形を軟鉄でつくり、鋭利さが必要な刃先にだけ鋼が入っている。
鋼は高温で焼き入れすれば硬くなるが、硬度を上げると衝撃に弱くなって折れやすくなる。だから、全体を鋼でつくる洋包丁は硬度をあまり高くできない。それに対して和包丁は、周りの軟鉄が衝撃を吸収するので、刃先にだけ硬くて鋭利な鋼をつけることができる。そのため切れ味がいい。これは、西洋の刃物と日本の刃物の根本的な違いで、西洋の刀剣に比べ、日本刀の切れ味がいいのもこのため。日本刀づくりの伝統的な技が包丁づくりにも受け継がれている。
それから、洋包丁は両側に刃がある「両刃(諸刃)」なのに対し、和包丁は「片刃」が基本(上のイラスト参照)。両刃のほうが扱いやすいが、片刃のほうが切った断面がなめらかになり、切り口がつぶれない。刺身をきれいに切れるのは、片刃の和包 丁だからこそ。和食が、食材を美しく切り、飾る料理へと発展してきた理由はそこにある。

2種類の鋼材を使った伝統の「和包丁」

包丁づくりの中心は鍛冶職人の仕事。熱した鋼材をハンマーで打って鍛え上げる「鍛造」の工程、軟鉄と鋼を高温で柔らかくして接合する「鍛接」の工程を経て包丁の形にする。
その後、加熱してから水に入れて急速に冷やす「焼き入れ」で硬度を上げ、冷やした包丁をさらに加熱する「焼き戻し」で弾力を持たせて強くする。
さらに、包丁の切れ味を左右する仕上げの工程に「研磨」がある。刃をとぐ作業だ。包丁に限らず、刃物はとぎ方一つで切れ味が変わってしまう。この研磨にも、日本の伝統的な職人技が生きている。目と指先の感覚を頼りに、手作業で微妙な調整をしながら1本ずつ仕上げる。
今、海外で人気の日本製高級包丁は、和包丁とは限らず、材質もステンレス刃物鋼を使ったものなどさまざま。だが、日本の研磨の職人技は欠かせない。
ドイツのゾーリンゲンは、中世から刃物の町として知られた都市。機械化による大量生産で成功し、刃物で世界一の輸出量を誇るようになった。しかし、その結果、手作業の職人技はほとんど失われてしまった。
今、ゾーリンゲンを代表する刃物メーカー「ツヴィリング(ヘンケルス)社」の最高級の包丁は、日本の刃物の産地、岐阜県関市の工場でつくられ、日本の職人技に支えられている。

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