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eドリル トップページ > That's GAKU(2017年3月)

2017年3月

世界に誇れる技術やサービス

日本の「逆浸透膜」が世界シェアの60%

1961年、アメリカのケネディ大統領は、「海水から淡水を安く手に入れることができるようになれば、それは人類に永く豊かさをもたらすことになり、他のいかなる科学の業績も、その前には小さなものにしか見えなくなる」と述べ、国家予算を投じて海水を淡水化する研究をさせている。人間が簡単に手に入れられる淡水は、地球上の水の1%ほどしかなく、97%は海水。将来の水不足を心配したケネディ大統領は、海水を淡水にする技術の開発を望んでいたのだ。それから半世紀が過ぎ、世界的な人口増加や新興国の産業の発展によって、水不足はますます深刻になっている。
水資源の少ない中東などでは、海水を熱して水を蒸発させ、蒸気を集めて冷却し、淡水にする「蒸発法」という方式で、百年以上前から海水の淡水化が行われてきた。蒸発法は、海水を熱するのにたくさんのエネルギーが必要でコストがかかる。また、海水の十数%しか淡水にできないので取水率もよくない。
そこで開発されたのが、「逆浸透膜」(右ページコラム参照)という“ろ過膜”を使って、海水の塩分(ナトリウムイオン)を除去する「逆浸透法」という方式だ。逆浸透膜は、酢酸セルロースやポリアミドなどの素材で作られた繊維。海水淡水化用の逆浸透膜では、日東電工、東レ、東洋紡の日本メーカー3社で世界シェアの60%を占め、日本が世界に誇る技術の一つになっている。
逆浸透膜の開発は、アメリカが先行していたが、1970年代に、高い技術力を持つ日本の繊維メーカーが高機能な水処理膜(ろ過膜)を開発し、1980年代から、サウジアラビアなど中東の海水淡水化プラントで採用されるようになった。
石油資源が豊富な中東では、蒸発法の海水淡水化プラントが多く建設されていたが、二酸化炭素を多く排出するため環境に悪影響を及ぼす。また、日本メーカーの改良により、逆浸透膜で海水から淡水にろ過したときの取水率も60%にまで上がった。メンテナンスも楽でコストも下がったため、中東でも逆浸透法が主流になり、日本メーカーが世界をリードしている。
現在、中東を中心に世界150か国以上で1万5000以上の海水淡水化プラントが稼働中。約3億人に淡水を供給している。今後も、アジアやアフリカなどで大型の海水淡水化プラント建設が見込まれる。

家庭用浄水器でも逆浸透膜が活躍

国内では、福岡や沖縄などの離島に海水淡水化プラントがある。日本は比較的、水が豊富なので、逆浸透膜を利用する場面は少ないと思うかもしれない。けれども、逆浸透膜の用途は海水の淡水化だけではない。浄水場での水道水の浄化、下水の再利用処理、工業用の純水の製造など、さまざまな水処理の場面で使われている。身近なところでは、家庭用浄水器などに逆浸透膜が利用されており、農薬や有機物、塩素、トリハロメタンなどを除去している。
逆浸透膜の形状には、1枚のろ過膜をロールケーキ状に巻いた「平膜」と、中が空洞でストロー状になった「中空糸膜」がある。三菱レイヨンの『クリンスイ』は、世界に先駆けて中空糸膜を家庭用浄水器に採用した製品。ほかにも、東レの『トレビーノ』など、ろ過膜がカートリッジ式になっているものが多く、のぞき窓などから白いそうめん状の中空糸膜が見られるものもある。
世界の多くの人がきれいな水を飲めるようにするためにも、汚れた水を川や海に流さないためにも、日本の“ろ過膜”の技術は貢献しているね。

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