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eドリル トップページ > That's GAKU(2015年11月)

2015年11月

幅が広がる繊維製品の使い道

 繊維製品といえば、身近なものではシャツやトレーナーなどの衣料品が思い浮かぶね。今も昔も、衣料品用の繊維は世界で生産され、消費されている。新興国の人口増加や経済成長によって、ポリエステルなど化学繊維の需要は増え、世界的に生産量が増えている。

 2014年の世界の化学繊維生産量をみると、前年より4.7%の増加。主要国のシェアをみると、中国が69.8%とほぼ7割を占めていて、日本はわずか1.2%のシェアしかない。量では、生産コストの安い新興国と競争にならないが、繊維製品は、衣料品に限らず幅広い分野で利用されるようになっているので、開発力が必要な新しい分野で日本の繊維メーカーの活躍が目立っている。

 たとえば、自動車部品では、エアバッグの生地やタイヤの補強材として高性能の繊維が使われていて、東レや東洋紡などのメーカーが海外で新工場を稼働させるなど、生産量を増やす計画。マスクやおむつなど衛生用品に使われる不織布は、東南アジアなどで需要が増えているので、東レやユニチカ、旭化成などのメーカーが現地での増産準備を進めている。

 そんななかで、航空機や自動車など、新たな用途が増え、注目されているのが「炭素繊維」だ。

炭素繊維のシェアは日本企業が世界の6割

 炭素繊維とは、90%以上炭素を含んでいる繊維。炭素繊維の特長は、軽くて強いこと。重さは鉄の4分の1で、強度は10倍。そのため、プラスチックなどに混ぜて軽くて丈夫な素材にし、これまで金属が使われてきた航空機の機体や自動車の部品などにも使われるようになってきた。炭素繊維を使うことで、機体や車体が軽くなるので燃費がよくなり、燃料を節約できるという利点がある。

 炭素繊維にもいくつかの種類があるが、現在、世界需要の9割を占めるアクリルを原料とした「PAN系炭素繊維」は、日本で開発されたもの。

 炭素繊維の生産では、東レ(36.0%)、帝人グループの東邦 テナックス(11.1%)、三菱レイヨン(10.2%)の日本の繊維メーカー3社で、世界シェアの57.3%、約6割を占めている。

 アメリカのボーイング社は、世界最大手の東レと長期契約を結び、機体の大部分に炭素繊維を使った世界初の旅客機「ボーイング787」を開発した。

 東レの炭素繊維は、トヨタの燃料電池車「MIRAI(ミライ)」の水素タンクや燃料電池の部品としても使われている。東邦テナックスの炭素繊維は、アメリカのゼネラルモータースの自動車部品として採用されるなど、自動車業界での需要も伸びている。

 そのほかにも、人工衛星の部材や風力発電のブレード(羽根)、テニスラケットや釣竿など用途は多様。これからもさまざまなものに利用されていきそうだ。

新しい機能を付けた衣料品用繊維も

 衣料品用の繊維のなかで、日本で新しい技術が開発されているものに、「高機能繊維」と呼ばれるものがある。綿やポリエステルなど、一般的な繊維に、新しい機能を付け加えた繊維だ。

 よく知られているのは、ユニクロが販売している「ヒートテック」。東レが開発したヒートテックの素材は、汗などの水分を吸収して発熱する吸湿発熱繊維。吸湿発熱効果のあるレーヨン、保温性のあるアクリル、速乾性のあるポリエステルといった素材を効果的に組み合わせることで、これまでになかった温かさが得られるという素材だ。東レは、イトーヨーカドーで発売している「ボディヒーター」の素材も提供している。

 クラレが開発し、ミズノから発売されている「アイスタッチ」は、吸汗速乾性があり、清涼感が得られる繊維。そのほかにも、紫外線を遮る素材や、はっ水素材、防汚素材など、さまざまな高機能繊維がある。

 これらの繊維は、形状や組み合わせ方を工夫し、繊維の原料に特別な効果のある機能剤を混ぜてから繊維を作ることで、新しい機能を付け加えている。日本の繊維メーカーの開発力が発揮でき、海外への進出が期待される分野だ。

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