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eドリル トップページ > That's GAKU(2013年7月)

2013年7月

ロシアで注目される日本の医療

最近、ロシアでは、日本の医療に対する注目度が上がっている。日本の医療を紹介するセミナーが開かれ、医師や病院関係者が多数集まるようになった。昨年12月には、日本の大学教授がモスクワの病院でロシア人医師に内視鏡を使った大腸検査の方法を教えるセミナーが開かれ、約40人が参加した。 ロシアの医療水準はあまり高くなく、胃がんや大腸がんの早期発見に役立つ内視鏡も普及していない。30年以上前の旧ソ連時代にヨーロッパから輸入したX線撮影装置をいまだに使っている病院もあるくらいで、最新の医療機器はあまり使われていないのが実状だ。そのため、ロシア政府は2011年から特別予算を組んで医療の近代化を進めている。そこで注目されているのが日本の医療だ。治療技術だけでなく、日本の医療機器への信頼も厚い。古いX線撮影装置の買い替えが進められたため、X線画像診断システムを販売している日本企業、富士フイルムロシアの2012年の売上は、2010年の5倍に伸びたという。ロシアだけでなく、急速に経済が発展している新興国でも、これから医療水準が上がっていくので、日本の進んだ医療機器を必要とする国が増えていくはずだ。

医療機器にも日本のものづくりの技術

日本メーカーが製造する医療機器では、オリンパスの内視鏡が世界第1位、約70%のシェアを占めている。内視鏡は胃や腸など体の内部の様子を映像で見るために開発されたカメラで、細く長い管の先が小さなレンズのついたカメラになっている。上部消化管内視鏡(胃カメラ)は、管を口や鼻などから胃に差し込み、内部の様子を画像で見られる装置。管にはカメラだけでなく、ごく小さな鉗子(物をつかむハサミのようなもの)がついていて、病気の疑いがある部分を採取することもできる。オリンパスはデジタルカメラなどを製造する精密機械メーカーで、光学機器を作る高い技術が内視鏡にも生かされているのだ。昨年9月にはソニーと業務提携し、内視鏡開発の新会社を設立した。ソニーには優れた映像技術があるので、新型内視鏡の開発が期待される。そのほかの医療機器では、CT装置の世界シェアで、東芝メディカルシステムズが第3位、日立メディコが第5位、超音波(エコー)診断装置のシェアでは、日立メディコが第3位、東芝メディカルシステムズが第4位と、日本の大手電機メーカーの関連会社ががんばっている。しかし、日本では、医療機器を製造販売するのに国(厚生労働大臣)の承認が必要で、法律の規制が厳しいため、医療機器の分野に力を入れる企業は少なかった。ところが、近年、アジアの新興国など海外への進出も考えて、企業が提携し、新製品を開発したり、異業種から医療機器の分野へ進出してくる企業も出てきた。昨年9月、日本の大手医療機器メーカー、テルモは、世界で最も細い注射針を開発した。先端の直径が0.18oという細さだ。テルモは2005年に「痛くない注射針」として、直径0.2oの注射針を発売したが、それをさらに0.02o細くすることに成功した。その注射針の開発に協力したのが、金属加工の岡野工業という中小企業だった。ごく薄いステンレス板を筒状に丸め、針の先端を皮膚に入りやすく加工するために、日本ならではの「ものづくりの技術」が発揮されている。医療機器には、検査装置や診断装置のように、センサーや半導体、コンピュータ技術など電子部品製造の技術が生かせるものや、注射針や鉗子などの金属加工のように、自動車や精密機械製造の技術が応用できるものも多い。小型化、軽量化が得意な日本のものづくりは、医療機器開発にも大いに役立つ。 医療機器や医療サービスの輸出は、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の成長戦略の中心にもなっている。安倍政権も医療機器の製造販売に必要な国の承認審査にかかる時間を短縮したり、法律の規制を緩やかにするなどして、医療機器の開発や販売が活発になるよう後押ししようとしている。これまで培ってきた日本のものづくりの技術が、医療機器の分野でもさらに生かせるようになりそうだ。

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